業務改善のヒント

社内システムが多すぎる!増える理由と問題点から対策までを解説

社内システムは、企業の基幹業務やバックオフィス業務などを支える重要なITシステムです。

しかし、計画的に開発・導入しないと、社内システムがどんどん数が増えていき、多すぎることによってさまざまな問題を引き起こす可能性があります。

社内システムが多すぎる理由や問題、社内システムの乱立を防ぐ方法、増えすぎた社内システムを減らす対策を解説します。

社内システムとは

社内システムとは、企業が業務効率化や生産性向上のために、自社専用に開発・運用しているITシステムのことです。

自社で一からスクラッチ開発するケースや、パッケージソフトを導入して専用にカスタマイズするケースなどがあります。社内システムは、自社固有の業務やニーズに合わせて設計・開発できる点が大きな魅力です。

しかし、そのときどきのニーズに応えて社内システムを開発してきた結果、乱立してしまうことは珍しくありません。社内システムが多すぎて使い勝手が悪かったり、使いこなせなかったりする悩みを抱えている企業は多いでしょう。

社内システムが多すぎる理由

なぜ、社内システムが多すぎる状態が生まれるのでしょうか。

主な3つの理由を解説します。

部門ごとのニーズでシステムを導入している

社内システムが多くなる理由の1つは、部門ごとのニーズでシステムを導入していることです。

各部門がそれぞれのニーズで独自にシステムを導入すると、次々に社内システムが出来上がり、数が増えていきます。同じ業務を担う社内システムが複数できたり、重複した機能を持つ社内システムがいたるところに散在したりすることも珍しくありません。

特に部門間の情報共有が少ない場合や、システム部門によるガバナンスが不十分な場合に起こりやすいでしょう。部門ごとのニーズを優先した結果、社内システムが乱立し、全体の管理が難しくなってしまいます。

全社的なIT戦略や方針がない

全社的なIT戦略や方針が明確でないことも、社内システムが多すぎる状態を招く可能性があります。

IT戦略・方針は、中長期的に、ITを企業経営にどのように活用していくかを定めたものです。IT戦略に沿ってシステムを開発・導入することで、全体として整合がとれた状態を保てます。

しかし、IT戦略や方針が明確でない場合、各部門は独自の判断で必要なシステムを選定・導入してしまい、結果として無秩序に社内システムが乱立しかねません。全体的な戦略のないシステム導入は「木を見て森を見ず」の状態となり、社内システムが多すぎる状態を生む原因となります。

成長に伴う場当たり的なシステム導入の積み重ね

企業の成長に伴って必要なシステムを導入してきた結果、気づいたら社内システムが多すぎる状態になっている場合もあります。

事業や規模を拡大している企業では、次々に新たな業務が生まれてくるでしょう。システムの手当てが必要な場合には、都度新たな社内システムを開発・導入して対応しなければなりません。

目の前の課題を解決することに注力していると、長期的な目線がおろそかになりがちです。短期的な課題解決を優先して場当たり的なシステム導入を続けることで、社内システムが乱立して多すぎる状態を招きます

社内システムが多すぎることの問題点


社内システムが多くても、「業務さえ回っていれば問題ない」と感じる方もいるかもしれせんが、そうではありません。

社内システムが多すぎることで生じる問題点を見ていきましょう。

システムの維持コストがかさむ

社内システムが多すぎることによる問題点の1つ目は、維持コストがかさむことです。

システムにかかるコストは、導入時の初期費用だけではありません。稼働後にシステムを維持していくためには、継続的にコストがかかります。例えば、運用費やライセンス料、エンジニアの人件費などが必要です。

また、社内システムの乱立による非効率な業務や、ミスの修正作業などにかかる隠れたコストも無視できません。システムが多ければ、その分だけ維持のためのコストがかさみます。

乱立するシステムを使いこなせない

社内システムが多すぎると、社員が十分に使いこなせない可能性が高くなる点も問題です。

利用するシステムの数が増えれば、その分だけ機能や操作方法を習得しなければなりません。すべてのシステムの操作性やルールが同じならば良いですが、開発者や時期が異なればバラバラです。システムが多いほど、使いこなす難易度は高まっていきます。

また、システムの数が多ければ、新入社員や異動した社員がシステムの機能や操作を習得するための時間も余計にかかるでしょう。このように、本来は業務の効率化や生産性向上のために導入したはずのシステムが、それを妨げる要因になってしまいます

多すぎるシステム間で無駄な作業が発生

社内システム間で無駄な作業が発生する点も、多すぎることで生じる問題の1つです。

業務ごとに社内システムが乱立すると、各システム間でのデータ連携や情報の整合性を保つための作業が必要になります。例えば、2つの社内システムに同じ情報を重複入力したり、ダウンロードしたデータを加工して別のシステムにアップロードしたり、といった具合です。

こうした作業は担当者の時間を浪費するだけでなく、人為的なミスも招きます。ミスが発生すれば、フォローのための作業も必要になるでしょう。無駄な作業は、現場の社員の生産性や士気の低下を招くことにも繋がります

社内システムが多すぎる状態を生まない方法

維持コストの増加や無駄な作業などの問題につながる社内システムの乱立を生まないためには、どのような方法があるのでしょうか。

社内システムを開発する際に、増やしすぎないようにするための3つの方法を解説します。

全社的なIT戦略や方針の策定

社内システムが多すぎる状態を防ぐためには、全社的なIT戦略や方針の策定が重要です。

IT戦略や方針では、中長期的な事業目標に沿ったIT活用計画やシステム導入の基準、技術選定のガイドラインなどを策定します。戦略や方針の策定では、経営層やIT部門だけでなく各事業部門の代表者も参画して全社的な合意形成を図ることが重要です。

社内システムを構築・導入する際は、全社で合意された方針やガイドラインに沿って検討することで、場当たり的なシステムの乱立や、システム間の整合性を無視した開発を防げるでしょう。

ITガバナンスの強化

IT戦略や方針の策定と並行して、ITガバナンスの強化も重要です。

ITガバナンスとは、組織がITを効果的に活用・管理するための枠組みや仕組みを指します。IT戦略や方針でITの活用計画やガイドラインを制定しても、適切に運用されなければ意味がありません。新しい社内システムを導入する際には、新規システムである必要性や、既存システムとの整合性をしっかりと審査することが重要です。

ITガバナンスの強化により、社内システムの導入プロセスを適切に管理することで、無秩序なシステムの増加を防止できるでしょう。

全体最適を考える組織的な意識改革

社内システムの乱立を根本的に防ぐためには、企業全体の組織的な意識改革も不可欠です。

そのときどきの業務ニーズやトレンドに対応して社内システムを次々に導入すると、乱立を招きます。乱立を防ぐためには、導入する各部門が目の前の問題解決だけを追求するのではなく、全社的な視点で考えるよう意識を変えることが必要です。

個々の業務や部門だけの利益を考える「個別最適」ではなく、企業全体の視点で考える「全体最適」が浸透すれば、無秩序な社内システムの乱立を抑制する企業文化が醸成されるでしょう。

多すぎるシステムを減らすための対策


ここまでは、これから作るシステムを増やしすぎないための方法を紹介してきました。

最後に、すでに多すぎる状態の社内システムを減らすための3つの対策を解説します。

システムの棚卸しと評価

まず、多すぎる社内システムの棚卸しを実施して、現状を正しく把握することが重要です。

IT部門とユーザー部門が協力して、各社内システムの利用部門や機能、利用状況、コストなどの情報を収集します。集めた情報をもとに、使われていないシステムや機能、重複している機能、負担がかかっている業務などを洗い出して各システムを評価しましょう。

評価結果にもとづいて、存続するシステム、廃止するシステム、統合するシステムなどの仕分けを行なって、多すぎる社内システムを減らすための道筋を立てます。

システムの廃止・統合

社内システムの仕分けが完了したら、結果に基づいて不要なシステムの廃止や、重複システムの統合などを進めていきます。

中には、利用されている社内ステムをやむを得ず廃止するケースもあるでしょう。そのような場合には、利用部門と十分に調整のうえ、代替手段を用意して業務への影響を最小限に抑える工夫が必要です。

また、社内システムを統合する場合には、統合対象システムの1つに他のシステムの機能を寄せるケースや、新たなシステムを構築して複数システムの機能を集約するケースなどがあります。統合では、単なる寄せ集めにならないよう、機能を整理して使いやすさを高めることが重要です。

ITコンサルタントを活用する

社内システムの廃止や統合を検討する際には、外部のITコンサルタントの活用も有効です。

自社内の人材だけでは、多すぎる社内システムの棚卸しや評価、廃止・統合の仕分けが難しいという企業も多いでしょう。そのような場合は、ITコンサルタントの活用を検討してみるのも良いでしょう。

社内システムが多すぎる問題を抱えている企業はたくさんあるため、経験豊富なITコンサルタントなら、他社事例や問題解決のベストプラクティスの知見を持ち合わせています。第三者の視点から現状を分析し評価することで、自社では思いつかない解決策が見つかるかもしれません。

まとめ

そのときどきのニーズに応えて社内システムを開発・導入していくと、気づいたら社内システムが多すぎて扱いに困るケースは少なくありません。

社内システムが多すぎるとシステムの維持コストがかさむのはもちろん、社員が使いこなせなかったり、無駄な作業が発生したりする問題があります。社内システムの乱立を防ぐためには、IT戦略の策定やITガバナンスの強化が有効です。

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